前々回、前回と、ソロ・ギター関連の話題が続いた後は、華麗なるバンドサウンドをお届けしましょう。
スティング (Sting) 来日を記念して (もう帰っちゃった?)、ソロ1stライヴアルバム “Bring On The Night” からタイトルトラックにもなっている “Bring On The Night / The World Is Running Down You Make The Best Of What's Still Around” です (タイトルながっ)
ポリス活動休止後、スティングは凄腕のジャズミュージシャンを招集して、ソロ・プロジェクトを始動。1stアルバム “The Dream Of The Blue Turtles” (『ブルー・タートルの夢』) をリリース後のツアーからのテイクを集めたのがライヴアルバム “Bring On The Night” です。そしてその一曲目がポリス時代の曲をリアレンジしたこのメドレー 。と言っても一体化されて一つの曲のようになっています。
アルバム “Bring On The Night” は、大学時代、周りに玄人好みの技巧的な演奏を好む人が多く、「スティングのライヴ盤すごくいいよ」って口コミで知リました。自分はジャズとか全く聴かない人でしたが、ポリスは好きだったんで聴いてみようという気になったんでしょうね。
で聴いてみたらこれが驚くほどカッコよかった!
ざっくり言うと、ジャズのエッセンスを取り入れたロックの進化系ということになるんだと思いますが、とても洗練された当時の最先端のサウンドという感じがしました。
好きなライヴ盤は?と聞かれたら必ず候補に上がる一枚です。
中でも、1曲目のこれがアルバムの成功を確信させた出色の出来栄え。
タイトルも長いが曲も長く、11分を超える長丁場ですが、少しも飽きさせないのは、卓越したアレンジとバンドの演奏力が際立っているからでしょうか。
デヴィッド・ボウイの『レッツ・ダンス』にも参加していたドラムの Omar Hakim (オマー・ハキム) と、その後ローリング・ストーンズのサポートベーシストを務めることになるベースの Darryl Jones (ダリル・ジョーンズ) による、抜群の安定感とグルーヴを生み出すリズム隊。
ジャズミュージックの名家出身のサラブレッド、Branford Marsalis (ブランフォード・マルサリス) のSaxは、この曲ではバッキングに徹していますが、彼のラップもいいアクセントとして曲の幅を広げています。ずっとスティングがラップやってるのだと思ってましたが、ブランフォードだったんですね (声質似てないですか?)
イントロの複雑に絡み合うようなアルペジオや、時折聞こえる軽快なカッティングを聞かせるスティングのギターもいい。ポリス時代からギターパートはスティングが考えてアンディ・サマーズが弾いてるという噂がありましたが、さもありなんと思わせる本職顔負けの味のあるギタープレイ。
圧巻は、中盤のKenny Kirkland (ケニー・カークランド) の長尺のキーボード(ピアノ?)ソロ。私自身は鍵盤は全く弾けませんが、引き出しの多さとテクニックは素人目にも圧倒的。
こういうピアノが弾きたいんだよ!(←全然弾けないけど前回の流れでつい。。)
このアルバムと同タイトルのドキュメント映像作品も出ています (日本版タイトルは『ブルー・タートルの夢』でした) 。その中に、スティング夫妻の子供の出産シーンがあって、スティングがボロボロ泣いているというのを友達から聞いて、レンタルで見てみました。
大の男が大泣きするなんて、どれだけ感動的なことなんだ?との好奇心から、息子イチロー、娘ぴかちゅう(いずれも仮名) とも、自分も出産に立ち会うに至るきっかけになった、こんなんでいいのかというぐらい薄っぺらい理由ですが、そういう意味でも人生を変えた一枚となっています。
フルコーラス(audio)
ライヴ映像ちょい見せのダイジェスト版
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